国内MBAの現状について~まとめ

前エントリーでも記載を行いましたが、私は国内で約50校程度あるMBAなどの経営系の大学院の中で8校と広告代理契約をしていました。

 

本エントリーは、あくまでも国内のMBAの大学院とお取引をしてきた中で、聞いた話、知った事を自分なりに再構成したものです。誤りがあれば、ご指摘いただけますと幸いです。

 

1、国内MBA市場の規模

経営系の大学院への入学者数は、1年間に2,000~2,500人と言われています。その中で、グロービスが急成長しており、去年では約800人の入学者を集めました。

なぜ、グロービスはそれだけの成長をしたのでしょうか。

 

2、グロービスとは

ハーバード大学MBAであるハーバードビジネススクールの修了生である堀義人さんが作った学校です。詳細は、wikipediaで確認をしていただければと思いますが、グロービスは株式会社立大学として設立されました。

小泉政権での構造改革特別区域で計画・設立された大学は10校。株式会社立の大学は、グロービス以外に、ビジネスブレークスルー、サイバー大学デジタルハリウッドなど、新設校の割には知名度が高いのではないかと思います。

旧来の大学に比べ、株式会社を背景として設立された大学は、広告・広報に優れているという傾向があります。

 

3、大学間の広告競争

大学というと、あまり広告をしているというイメージは薄いかもしれません。

でも、実際はかなりガシガシ広告をやっています。私の聞いた中で一番大きく広告を出稿している大学は、グループ全体の広告出稿額が10億円だと聞いたことがありますが、大学向けの広告市場はかなり大きいようです。

少し考えてみると、少し前に高校野球で越境入学が問題になりました。例えば、ニューヨークヤンキースで活躍する田中将大投手は、出身地は兵庫県伊丹市で、伊丹市立松崎中学校に通っていますが、高校は北海道にある駒澤大学附属苫小牧高等学校です。田中将大投手が特待生だったかわかりませんが、有力選手をスカウトし越境入学をしてもらうには、3年間の授業料、寮費、ユニフォームなど用具代を合計すれば300~400万円程度かかるそうです。(日経ビジネス)1学年に5人の選手を越境入学させるには毎年2,000万円程度の費用がかかることがわかります

 最近では、広告媒体として箱根駅伝も注目をされています。箱根駅伝高校野球ほどではありませんが、お金がかかっているようです。

2008年度(第85回)、東洋大学1年生だった柏原竜二がレースを盛り上げて優勝。その結果、翌2009年度の同大学受験者数が前年度の16.2%増となった」(livedoornews)

箱根駅伝は名門校でない大学の学生獲得の“広告”としても認識され始めている。過去には、数多の好勝負を演じた山梨学院大学が、箱根優勝を機に一気に偏差値を上げた例もある。近年では、城西大学の台頭も目立つが、第二、第三の山梨学院大学の座を狙っている大学も存在する。」(livedoornews)

授業料免除+奨学金という形で生徒を獲得する風潮が目立つようになったのもここ数年」(livedoornews)

新橋には、数軒の大学専門の広告代理店があります。私の知っている広告代理店は、全て新橋から徒歩数分の好立地で自社ビルを持っており、非常に好業績を想像させます。

 一般の企業とは異なり、大学職員には中途採用が少なく、多くの大学では職員をローテーションさせることもあり、広告代理店に仕事を丸投げする傾向があります。その為、広告業務は、ほぼ広告代理店に丸投げするため、取引をリプレイスすることが出来ないことが事情としてあるようです。

しかし、これらの広告代理店は、数十年単位で大学との取引だけで運営されているため、ネット広告などの新しい広告への取り組みでの知見がないというのが状況のようです。

グロービスをはじめとする株式会社立大学は、この広告運用能力で差別化をし拡大してきたというのが私見です。

 

4、広告の稚拙による事業拡大が正しいか。

海外のMBAでは、自分たちの価値を高めることを必死で考えています。MBAのメインの講義は入学のタイミングにより、大きく変化しています。リーマンショック前までは、卒業生をいかにウォールストリートに送り込むか、そのあとは起業させるか。現在では、勃興する中国企業の創業者の子弟や中東のオイルマネーに関わる若手の王族向けの授業を増やしているそうです。

MBAを修了したあと、いかに卒業生に社会に貢献してもらうか。大きな仕事をしてもらうか。そのために、どのような人に入学してもらうか。彼らは生き残りだけでなく、将来の展望など必死に考えています。

ただ、そこまできちんと考えているMBAがいかにあるか。。。

箱根駅伝で有名になると出願者が増える。出願者が増えると、大学は願書収入が増えて儲かる。事業として考えると、これは正しい判断です。あくまでも噂話ベースですが、広告を出稿する傾向が強いのは偏差値50未満の大学が多いそうです。そして、スポーツで大学を有名にさせることが多いそうです。スポーツ雑誌のナンバーという雑誌が大学からは出向先としては人気だそうです。

 

 日本のMBAは、これでいいのだろうか。どこまで入学者、卒業生に責任を持っているか。生き残りがあまりにも簡単に出来るために、きちんとMBA経営を考え切れているのでしょうか。

 

3、グロービスがなぜ成長したか。

同じ株式会社を背景とするMBAとしては、大前研一さん率いるビジネス・ブレークスルーとグロービスは、非常に似ています。表面的な話をすると、ビジネス・ブレークスルーは超一流のビジネスマンを講師にオンラインでの講義を提供。グロービスは、ビジネス・ブレークスルーに比べると、決して一流とはいえないビジネスマンを講師にしているものの、ライブで講義をすることに違いがあります。

当初はビジネス・ブレークスルーの方が優位にみられていましたしたが、現状ではグロービスが大差で圧勝をしています。

仮に講義の仕方で差がついたとすると、ビジネス・ブレークスルーのオンラインでの講義の配信というのは、林修さんで有名な東進ハイスクールなどでも採用されており、先見の明はあったのではないかと思います。では、何が違いがあったのでしょうか。

 

あくまでも、私の個人的な考え方では、グロービスベンチャーキャピタル部門の強さではないかと思います。

www.globiscapital.co.jp

 

ビジネス・ブレークスルーというか大前研一さんも投資という部分では負けていません。大前・アンド・アソシエーツという会社で、ケンコーコムという会社に投資をするなど、投資家としての結果を出しています。しかし、ビジネス・ブレークスルーという名前で投資はしていません。

ケンコーコムの投資について

 

 マーケティング的には、グロービスの戦略はマスターブランド戦略とか、アンブレラブランド戦略とか単一のブランドで展開していく戦略。ビジネス・ブレークスルーは一方で、マルチブランド戦略を採用しています。ビジネス・ブレークスルーは、アタッカーズビジネススクールという講義型のサービスでは、ミクシィクラウドワークス、鎌倉新書など数多くの上場企業の創業者を輩出しているだけに、非常にもったいなかったのではないかと思います。