日本のMBAのポジショニング

最近は、立て続けにMBAの中の人たちと学校の方針について協議を行う。

 

日本のMBAと海外のMBA

最も大きな違いは、ポジショニングだ。

海外のMBAは管理職になる前、20代の半ば~後半で入るものです。

 

【スクープ】「楽天」入社の「JFKの孫」が僅か1カ月で退社 | イエロージャーナル

 

僕の古巣でもある楽天鳴り物入りで入社したJ・F・ケネディ大統領の孫は、楽天入社後1年も働かないうちに退職されたそうです。退職後は、ハーバード大学MBAに入学するとまことしやかに噂されました。

※ネットの噂を見ると、サントリーに転職されたようです。

ジャック・シュロスバーグ - Wikipedia

 

このように海外のMBAは、20代半ばでの入学も普通です。

一方で、日本のMBA。多くの大学の平均入学年齢は38歳。

管理職を経験していてもおかしくない年齢での入学です。

 

これは、私のあくまでも仮説ですが、日本のMBA市場は、転職市場で勝ち組と負け組のボーダーラインに居る方がメインターゲットだと思っています。

40歳を超えると、転職での賃金上昇の機会は限られることもあり、それに抗いたい人が入学することが多いのかなと思っています。

40歳以上の労働者、転職による賃金の減少鮮明 (読売新聞) - Yahoo!ニュース

 

以前、ビズリーチの方に分析していただいたところ、MBAホルダーかどうかにより、転職のオファー回数が変わるとのことでした。

 

MBAに入学する目的を転職の機会創出とするなら、ターゲットはぎりぎりホワイトカラーな人かなと考えました。広告の出稿先として考えると、まさにこのボーダーな方たちが反応率が高いです。

 

ただ、私のクライアントのほとんどが、この事実を受け入れません。以前、私はMBAで講師を招いた寄付講座を企画したことがあります。その寄付講座は、某エンターテインメント会社の再建を果たした有名社長にお願いをしました。

その講座の質問時間で、私は顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしました。講義の出席者たちは、まともな質問が誰も出来ないのです。「出演者の誰が好きです。」「さいたまアリーナのライブに行きました」「出演者の動きは、どこまで台本ですか?」

MBAの講義で、このような質問が出るとは思いませんでした。質問の内容のどこに経営の要素があるのでしょうか。こんな低レベルの質問をして恥ずかしくないという状況にびっくりしました。

 

私は経営大学院を出ています。私の恩師は、国内のMBAを取得後、講義に来た方の会社にスカウトされ、転職されたそうです。こんな質問をするような人たちをスカウトされる間抜けな経営者はいるでしょうか。。。

 

このレベルの人たちがメインターゲットであれば、卒業のしやすさを売りにしていくべきなのではないかと確信したわけです。

ただ、その前段として、このような人たちに教育の場を提供する価値はどれだけあるのかというのは、MBAの運営者の人たちに、私がいつもぶつける質問です。

書評~「 0 to 100 会社を育てる戦略地図 山口 豪志」

著者の山口さんを知っているだけに、非常に面白かった。ただ、注意していただきたいのは、この本は起業の入門書。僕は、個人的に数年来山口さんと接してきて、非常に面白いという評価をしています。

 

僕の個人的な経験でいうと、古参メンバーを優遇すべきかどうかの問題。

僕は、古参メンバーを優遇すべきではないという視点を持っている。

それは、楽天に勤めていた経験から優秀でもないのに、役職についてしまっている人を何人も見ているからです。山口さんは逆に、ランサーズでもクックパッドでも古参メンバーの立場から物を見ているんだろうなと思います。

 

山口さんの評価とは別に、ベンチャーでは会社が大きくなれば大きくなるほど優秀なメンバーが増えてきます。その為、古参メンバーを優遇すべきかという問題で言うと、どこかで古参メンバーを外したほうがよいと思います。ただ、過渡期では仕事は部署ではなく、属人的に回っている部分があるので、うまく移行する必要があるというのは書いてある通りだなと思います。

 

後発入社組は、専門的な能力を持っているし、そもそも優秀。古参メンバーは、あまり優秀ではないし、色々な仕事をするマルチタスク型。評価が同じようには出来ないです。だから給料やストックオプションなどの評価面では揉めるというのは当たり前です。どこの会社でもギスギスする部分だと思いますが、非常にライトに綺麗に書かれているなという印象を強く受けます。

 

ただ、新商品の販売の流れなどは勉強になるかと思います。最初の会社は、トップ企業ではなく2番手を探し、その次は近い業界を狙っていくなどは触りの部分だけですが面白いです。

 

 

国内MBAの現状について~まとめ

前エントリーでも記載を行いましたが、私は国内で約50校程度あるMBAなどの経営系の大学院の中で8校と広告代理契約をしていました。

 

本エントリーは、あくまでも国内のMBAの大学院とお取引をしてきた中で、聞いた話、知った事を自分なりに再構成したものです。誤りがあれば、ご指摘いただけますと幸いです。

 

1、国内MBA市場の規模

経営系の大学院への入学者数は、1年間に2,000~2,500人と言われています。その中で、グロービスが急成長しており、去年では約800人の入学者を集めました。

なぜ、グロービスはそれだけの成長をしたのでしょうか。

 

2、グロービスとは

ハーバード大学MBAであるハーバードビジネススクールの修了生である堀義人さんが作った学校です。詳細は、wikipediaで確認をしていただければと思いますが、グロービスは株式会社立大学として設立されました。

小泉政権での構造改革特別区域で計画・設立された大学は10校。株式会社立の大学は、グロービス以外に、ビジネスブレークスルー、サイバー大学デジタルハリウッドなど、新設校の割には知名度が高いのではないかと思います。

旧来の大学に比べ、株式会社を背景として設立された大学は、広告・広報に優れているという傾向があります。

 

3、大学間の広告競争

大学というと、あまり広告をしているというイメージは薄いかもしれません。

でも、実際はかなりガシガシ広告をやっています。私の聞いた中で一番大きく広告を出稿している大学は、グループ全体の広告出稿額が10億円だと聞いたことがありますが、大学向けの広告市場はかなり大きいようです。

少し考えてみると、少し前に高校野球で越境入学が問題になりました。例えば、ニューヨークヤンキースで活躍する田中将大投手は、出身地は兵庫県伊丹市で、伊丹市立松崎中学校に通っていますが、高校は北海道にある駒澤大学附属苫小牧高等学校です。田中将大投手が特待生だったかわかりませんが、有力選手をスカウトし越境入学をしてもらうには、3年間の授業料、寮費、ユニフォームなど用具代を合計すれば300~400万円程度かかるそうです。(日経ビジネス)1学年に5人の選手を越境入学させるには毎年2,000万円程度の費用がかかることがわかります

 最近では、広告媒体として箱根駅伝も注目をされています。箱根駅伝高校野球ほどではありませんが、お金がかかっているようです。

2008年度(第85回)、東洋大学1年生だった柏原竜二がレースを盛り上げて優勝。その結果、翌2009年度の同大学受験者数が前年度の16.2%増となった」(livedoornews)

箱根駅伝は名門校でない大学の学生獲得の“広告”としても認識され始めている。過去には、数多の好勝負を演じた山梨学院大学が、箱根優勝を機に一気に偏差値を上げた例もある。近年では、城西大学の台頭も目立つが、第二、第三の山梨学院大学の座を狙っている大学も存在する。」(livedoornews)

授業料免除+奨学金という形で生徒を獲得する風潮が目立つようになったのもここ数年」(livedoornews)

新橋には、数軒の大学専門の広告代理店があります。私の知っている広告代理店は、全て新橋から徒歩数分の好立地で自社ビルを持っており、非常に好業績を想像させます。

 一般の企業とは異なり、大学職員には中途採用が少なく、多くの大学では職員をローテーションさせることもあり、広告代理店に仕事を丸投げする傾向があります。その為、広告業務は、ほぼ広告代理店に丸投げするため、取引をリプレイスすることが出来ないことが事情としてあるようです。

しかし、これらの広告代理店は、数十年単位で大学との取引だけで運営されているため、ネット広告などの新しい広告への取り組みでの知見がないというのが状況のようです。

グロービスをはじめとする株式会社立大学は、この広告運用能力で差別化をし拡大してきたというのが私見です。

 

4、広告の稚拙による事業拡大が正しいか。

海外のMBAでは、自分たちの価値を高めることを必死で考えています。MBAのメインの講義は入学のタイミングにより、大きく変化しています。リーマンショック前までは、卒業生をいかにウォールストリートに送り込むか、そのあとは起業させるか。現在では、勃興する中国企業の創業者の子弟や中東のオイルマネーに関わる若手の王族向けの授業を増やしているそうです。

MBAを修了したあと、いかに卒業生に社会に貢献してもらうか。大きな仕事をしてもらうか。そのために、どのような人に入学してもらうか。彼らは生き残りだけでなく、将来の展望など必死に考えています。

ただ、そこまできちんと考えているMBAがいかにあるか。。。

箱根駅伝で有名になると出願者が増える。出願者が増えると、大学は願書収入が増えて儲かる。事業として考えると、これは正しい判断です。あくまでも噂話ベースですが、広告を出稿する傾向が強いのは偏差値50未満の大学が多いそうです。そして、スポーツで大学を有名にさせることが多いそうです。スポーツ雑誌のナンバーという雑誌が大学からは出向先としては人気だそうです。

 

 日本のMBAは、これでいいのだろうか。どこまで入学者、卒業生に責任を持っているか。生き残りがあまりにも簡単に出来るために、きちんとMBA経営を考え切れているのでしょうか。

 

3、グロービスがなぜ成長したか。

同じ株式会社を背景とするMBAとしては、大前研一さん率いるビジネス・ブレークスルーとグロービスは、非常に似ています。表面的な話をすると、ビジネス・ブレークスルーは超一流のビジネスマンを講師にオンラインでの講義を提供。グロービスは、ビジネス・ブレークスルーに比べると、決して一流とはいえないビジネスマンを講師にしているものの、ライブで講義をすることに違いがあります。

当初はビジネス・ブレークスルーの方が優位にみられていましたしたが、現状ではグロービスが大差で圧勝をしています。

仮に講義の仕方で差がついたとすると、ビジネス・ブレークスルーのオンラインでの講義の配信というのは、林修さんで有名な東進ハイスクールなどでも採用されており、先見の明はあったのではないかと思います。では、何が違いがあったのでしょうか。

 

あくまでも、私の個人的な考え方では、グロービスベンチャーキャピタル部門の強さではないかと思います。

www.globiscapital.co.jp

 

ビジネス・ブレークスルーというか大前研一さんも投資という部分では負けていません。大前・アンド・アソシエーツという会社で、ケンコーコムという会社に投資をするなど、投資家としての結果を出しています。しかし、ビジネス・ブレークスルーという名前で投資はしていません。

ケンコーコムの投資について

 

 マーケティング的には、グロービスの戦略はマスターブランド戦略とか、アンブレラブランド戦略とか単一のブランドで展開していく戦略。ビジネス・ブレークスルーは一方で、マルチブランド戦略を採用しています。ビジネス・ブレークスルーは、アタッカーズビジネススクールという講義型のサービスでは、ミクシィクラウドワークス、鎌倉新書など数多くの上場企業の創業者を輩出しているだけに、非常にもったいなかったのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

明けましておめでとうございます

2018年になりました。

新年ということもあり、心機一転、ブログをはじめようと思います。

 

2017年は、リセットの時期でした。

やっていた事業の多くを手じまいし、2018年の種まきに心がけました。

 

2018年、自分は何をしていくか。

2012年にサラリーマンをやめ、2013年に会社を興しました。

最初に手掛けた事業はMBA(経営大学院)向けの広告代理店でした。

 

大学向け、大学院向けの広告代理店は3年で店じまいをしました。

理由は、将来性の無さとやりがいがないから。

 

僕の会社は、経営系の大学院とは8校と契約していました。

国内では、50校程度ある経営系の大学院の中で、8校と契約をしているので、国内では最大のMBAの広告代理店だったと思います。

 

その約50校の学校のうちの1校、グロービスが急成長、急拡大を続けています。

グロービス入学者推移

MBAなどの経営系の大学院の市場規模は2,000~2,500人/年と言われています。

その中で、グロービスの入学者数は、約800人。

 

 

では、なぜ、グロービスは、ここまで成長を出来たのか。

最初のブログでは、国内MBAでの市場についての洞察を行っていきたいと思います。